日本で舞台化も!実話に着想を得て制作された映画「チョコレートドーナツ」鑑賞感想文:哀傷の余韻残る愛のお話
2012年アメリカの映画、「チョコレートドーナツ」。同性のカップルがダウン症の少年と家庭を築く、その愛と困難を描いたこちら。さまざまなことを考えさせてくれる、見応えある作品でした。
さて皆様いかがお過ごしでしょうか、転です!!
今回は映画「チョコレートドーナツ」のお話。
“1970年代、ニューヨークにて ゲイの男性が育児放棄された障がい児を育てた”という実話から着想を得て作られた作品です。実際にどういった難しさがあったろうかと掘り下げていく中でお話が構築されていったそうな。
というわけで、人のつながりを阻む差別・偏見といった障壁について描かれる愛の物語です。
そんな内容にもかかわらず日本では当初、「ゲイカップルとダウン症児の映画」の宣伝に手を挙げるところはなく、映画コメンテーターのLiLiCo氏が広めるまで細々と1館のみで上映されていたというエピソードがあるのはなんとも皮肉なお話。とはいえ近年は、東山紀之氏主演で世界初の舞台化もなされていまする。ショーのシーンも多分にあるので舞台映えしそう〜。
てなもんで!!
そんなこちらの作品について、感想なんかをつらつらと。
詳細なねたばれはいたしませんが、所感を述べるにあたって内容に触れる部分もありますので、まっさらな状態で視聴したい!って方はご注意をば。
よろしければ、ごゆるりと。
映画「チョコレートドーナツ」鑑賞感想文
1979年のカリフォルニアが舞台。
ショーパブでパフォーマーとして働く歌手志望のルディは、店で知り合った検事局のポールと恋に落ちる。
ある日ルディはアパートの隣人、ダウン症の少年マルコと知り合う。彼の母親は危険薬物所持のため逮捕されてしまい、ひとり残されたマルコは施設へ入れられることに。
施設から脱走しアパートに戻ろうとするマルコ。彼の境遇に心を痛めたルディは、マルコを引き取りたいとポールに相談。2人は恋人同士であることを隠し、法手続きに則りマルコの監護者となる。
愛情に溢れた幸せな日々を送る3人だったが、ルディとポールの関係が晒されたことをきっかけに2人とマルコは引き裂かれることに。
愛する子どもを取り戻すために奮闘する2人だが……。
ざっくりそんなお話!!
では感想をば。
家族愛溢れる前半にほっこり
3人が出会って、家族になっていく過程が描かれていく前半から中盤くらいまで、すごく観てて幸せな気持ちになります。
ルディのいい人感というか、愛情豊かな感じもすごく素敵やなー。ですし、
一見して現実的というか、ちょっとクールなようでいてポールもめっちゃラブラブ(?)ですし。
なんせマルコがすごくあいくるしいのですよ。彼がニコニコしてるとほっこりするう。絶対にしあわせになってほしいと思わされます。
他人だろうがマイノリティだろうが関係ない、想い合うことの尊さというものがしっかりと伝わってきました。
とはいえ物語が進むにつれ厳しい展開になっていくので、この前段が余計に物悲しさを引き立ててくるのですが。情緒乱れまくり。
偏見や差別がいかに人の目を曇らせるのか
現代も全くないとはいえないけれど、そんな今よりもっと全然同性愛にも障がい者にも差別・偏見のあった時代のお話。ほんま考えられへんような言葉を投げかけられたり、びっくりするような価値観が常識としてあったりします。
ルディは「自分は自分」!と堂々と生きる道を選んできた人で、ポールは自分の性的嗜好を隠してきた人。
人の目とたたかうのか、現実と受け入れるのか、ルディは魅力的に見えるけども当時を生きていかないといけないことを思えばうーん難しい話……その偏見によって職を失ったりするわけですし。でもたたかう道を誰も選ばなければ世の中変わってないんだろうし。うーん。でもそれって偏見持つ方の問題やのになんで当事者が態度を決めんといかんのだむかつく……とか、対照的な2人の姿と、ちらちら見えるこの当時の価値観とを眺めながら悶々と考えました。
家族として暮らしを紡いできた3人ですが、同性愛者であることの露見がきっかけにマルコとは引き離されてしまいます。どのように暮らしてきたか、その中身を見ている人もいますが、同性カップルであることに注目する人にはそれが伝わりません。
いかに差別や偏見が本質を見失わせるか、人の目を曇らせるのか、そしてそれがどんだけくだらないことなのかをまざまざ見せつけてくれました。
マルコとまたともに暮らすために2人が訴えかけるシーンは言葉の一つ一つに多くのことを考えさせられます。
辛いけども見応えありです。
心情とリンクする歌唱シーンが見所!
「歌手志望のルディ」の物語も要所要所で進行していくのですが、これがね〜ほんまに心揺さぶられます。
大きなお話の流れに沿う歌唱内容になっており、その時の状況や心情にリンクしているのですがほんまやば……。
特にラストはもう号泣でした。
ストーリー的にも号泣やのに追い討ちかけてきますね……!!!
まさに魂のこもった歌声。胸打たれるう。
素晴らしかったです。
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おわりに
さて最後までご覧くださり ありがとうございました!!
正味、視聴前になんとなく「ツラめなお話」ということだけは知っていたのでヒヤヒヤしながら観たところはあったのですよ。
実話を元にしたマイノリティの苦しみといえばな映画「ボーイズドントクライ」みたいな感じやったらどうしようかと。あれトラウマやから……。
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もう2度と観られへん……つらすぎて……
しかし、確かに辛いし悲しいし衝撃的ではありましたが、それまでに感じたあたたかさも残る余韻の中に感じることができたので、ただ悲哀だけではないものも受け取ることができたのではないだろか。
観てよかったです。
奥深い作品に触れたい時に是非とも。オススメです!!
では今回はさらば!!!