映画「天国でまた会おう」あらすじ&感想文:虚無と哀愁とユーモアと

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同名小説が原作の、2017年のフランス映画「天国でまた会おう」感想です。戦地での出来事をきっかけに縁のできた帰還兵二人の、壮大な詐欺計画を描いたこちらの作品。犯罪コメディと言いつつも、戦争の虚しさ社会の不条理もしっかり観せる、味わい深い映画でありました。

さて皆様いかがお過ごしでしょうか、転です!!

今回は映画「天国でまた会おう」のお話。
タイトルに惹かれて寝られぬ深夜に鑑賞したこの作品がまーたすごくよかったので感想なんかをつらつらと。

『天国でまた会おう』(てんごくでまたあおう、Au revoir là-haut)は2017年のフランスの犯罪コメディ映画。 監督・主演はアルベール・デュポンテル、出演は他にナウエル・ペレス・ビスカヤールとロラン・ラフィット(フランス語版)など。 フランス文学界で最も権威のあるゴンクール賞を受賞したピエール・ルメートルの同名小説を原作とし、ルメートルと監督のデュポンテルが共同で脚本を執筆した作品で、第一次世界大戦で心身に深い傷を負った2人の元兵士が、自分たち帰還兵を冷遇する国を相手に詐欺犯罪を企てる姿を描いている[4]。
第43回セザール賞(フランス語版)で13部門にノミネートされ、監督賞など計5部門で受賞している[4]。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

原作・映画ともに評価の高い作品だったことを全く知らずに観たのですが納得です。

さて本文中ネタバレというほどのことはありませんが、内容に触れるところもありますので、映画は何も知らずに観たいんじゃあという方はご注意をば。ちなみに上のWikipediaリンク先も物語オチまで全て掲載されているのでお気をつけください。

そんなこんなで よろしければ、ごゆるりと。

映画「天国でまた会おう」ざっくりあらすじ

第一次世界大戦ももう終わりが見えていて、互いに「あとは終わりのお知らせを待つだけよね」と特に戦いをせずにいた百十三高地のドイツ軍とフランス軍。しかしフランス軍中尉プラデルは戦争がしたいんじゃあと、一計講じて戦闘状態を再開させる。
同じ隊にいたアルベールはその謀に気がつき殺されそうになり、エドゥアールはそれを助けるものの顔の半分を失う重傷を負います。
エドゥアールは絵の才能にあふれるアーティストですが、御曹司。父から期待されるのは絵の才能にあらず。そんな確執から、家へ戻りたくないから生きていたくないというエドゥアール。命を救われた手前、力になろうとするアルベールはエドゥアールの戦死を偽装し、帰還後は一緒に暮らし始めます。
しかし元・上官プラデルが強かに財を築く一方で、アルベールとエドゥアールの暮らしは貧しく厳しいものでした。
ある時閃いたエドゥアールは絵の才能を活かした詐欺を計画します。
アルベールは葛藤しながらも、厳しい社会に打ちひしがれ実行することを決意します。
そこに、顔の怪我からうまく発声できないエドゥアールと心通わせる孤児の少女・ルイーズが加わり、3人は詐欺計画とプラデルへの復讐へと漕ぎ出すのでした。

感想文:虚無と哀愁とユーモアと

長い原作、でも映画として違和感なし!

原作小説は未読ですが、上下巻と長めなのでどんなものかと思いきや、全然違和感なく観られました。もちろん、原作ではもっと掘り下げられている部分なんかはあるのでしょうし、それらは一言の台詞とか映像の羅列に凝縮されているご様子。のでしっかり説明してくれる方が好きなんですけど、って人には合わないかも。ただ背景とか、心情とか、全てを語らずその一瞬その一言にのみ乗せてくる感じのやつ、好きやで……って人はきっと好きなはず
転的にはどっちも好きやで。
ともかく、「長編小説の映像化」っぽくないくらいにまとまってました。すごい。
派手さはないですが、展開がぎゅっと詰まっているので見易かったです。

虚しさはあるけど悲壮感はない

エドゥアールの背景を考えるとだいぶ悲しみを背負ってたりしますし、アルベールも巻き込まれ感すごい。そもそも、ギリギリで生きて帰ってきて、苦しい生活を強いられるという社会の不条理に見舞われている二人です。描き方によってはかなりの悲壮感が漂いそうなものなのですが、哀しみ成分はあんまりありません。そこはアルベールのある種の滑稽さとか、エドゥアールとルイーズのやり取りの可愛さとか、またエドゥアールが顔の怪我を隠すために自身で製作した多種多様なマスクがそれぞれの場面ですごく効いておるー。そこはかとなくコミカルさを演出してきます。
そうして悲しみを前面に出さない分、辛いこと、ままならないことが展開した時に虚しさが引き立ってきますね。グッときます。

三者三様にもがいている

詐欺を働こうとする帰還兵二人も、汚い手で財を築いている元上官も。
戦場から戻って、そこでどう生きるのかともがいているのですよねー。
エドゥアールはめちゃアーティストらしいなーと思う。適応なんてさっさと放って、戦争の犠牲、その美化を否定するという意思・思想の表現としての犯罪へ向かっていくその感じ。
アルベールはというと、一旦は頑張ってみるんですよね。普通のおっさんなので。戦前に就いていたほどの仕事には戻れないし、彼女にもフラれたけど、命の恩人であるエドゥアールも養わないとだしなんとかやらねばと。
プラデルも、この人は映画では敵対勢力ですしまあ悪人なんですけど、そもそも戦争したがるっていうのも戦争の中にいたことの弊害では。一瞬彼自身の虚無感が垣間見えた場面もあり、実際ゲロ以下の臭いがプンプンするタイプだったのかどうかはよくわからんかったです。なんにせよ普通の感覚からは離れてしまっているので社会でやっていくとなった時にはこの人なりの大変さがあるような。
三者三様に、やり方はともかくとして何かをよくしようともがいている様が、またこの映像の雰囲気と相まって哀愁を感じさせられまする

などなど、なんか書ききれてない気もしますがともかくこの辺で。
いい映画でした。

原作もそのうち読みたいな。

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おわりに

さて最後までご覧くださり ありがとうございました!

海外の社会情勢とか世界史に明るくない人間の感想なのであれなんですが、諸々知識のある博識な方が観るとより興味深く観られる作品なのではないでしょうか。

もちろん何は無くとも。映画らしい映画というか、映像でしっかり伝えてくる魅力的な作品であることに違いなし!です。

フランス映画ってなんか深夜に観たくなるよね……ということで夏の夜長にいかがでしょうか。

では今回はさらば!!!