心ぬくとまる映画「コーダ あいのうた」鑑賞感想文!離れがたい家族の親・子離れを描く
2021年アメリカ・フランス・カナダの共同制作映画「コーダ あいのうた」。フランス映画の英語リメイクであるこちら、あかるくあたたかい 素敵な作品でありました。
てなもんでいかがお過ごしでしょうか、転です!!
今回は映画のこと、「コーダ あいのうた」のお話。
2014年のフランス映画「エール!」の英語リメイク作品です。
タイトルになっているコーダとは、「Children of Deaf Adults=“耳の聴こえない両親に育てられた子ども”」の意。家族の中でたった1人の健聴者である主人公が思春期から大人に向かっていくいわゆるカミングオブエイジもののコメディ+人間ドラマな作品です。
聾の家族を演じた俳優さんがみな聾の方というのでも話題になっておりましたな。
2021年のアカデミー賞では3部門の受賞、うち助演男優賞に選ばれた主人公の父親役トロイ・コッツァー氏が聾の俳優さんでは初のオスカーとなりました。
この人ほんま……ヨカッタ……。
さて俳優さんの素晴らし!!もさることながら、若者たちの水水しいロマンスや家族の絆、そして音楽、などなど胸ときめく大変すてきな1本でありました。
ので、そんな感想をばつらつらと。
詳細なあらすじのネタバレなどはいたしませぬが、感想を語るに付け内容に触れることもありますので そんなんイヤ!!って方はご注意をば。
よろしければ ごゆるりと。
心ぬくとまる映画「コーダ あいのうた」鑑賞感想文
アメリカ合衆国、マサチューセッツで暮らすルビー・ロッシは、父のフランク、母のジャッキー、そして兄のレオの4人家族。家庭内で唯一耳が聴こえるため、幼い頃から 手話で話す彼らの通訳を担ってきた。
家業の漁業を手伝いながら高校に通うルビーは新学期、憧れの同級生と同じ合唱のクラブを選択。そこで顧問であるベルナルドに歌の才能を認められ、音大への進学を勧められる。しかし両親は家業が大事と反対し……。
ざっくりそんな感じ!!!
アクセントを強調した親・子離れストーリーに引き込まれる
子どもから大人へ……ストーリーなんですが一味違うのが、主人公ルビーが育ってきたのがタイトル通りの家庭環境であること。自分だけが聴こえる、ということの独特な苦労をしてきている様子が垣間見えます。このあたりはコメディ的に描かれている部分も多くて、面白かったのですが実際自分がルビーやったら「いや女子高生に何ちゅうこと通訳させとんねーん!!」とかね……やっぱ苦労やとおもう……。
とにかく。
幼い頃から家族と、手話の通じない他者との橋渡しをしてきたルビーは、大変しっかりもの。「自分がいないと」という自覚もあります。
そうして家族と強い一体感を持ってずっと一緒に過ごしてきたので、自分を外へ向けて表現することが苦手だったり恐れがあったりもします。
家族の中での明確な役割も影響もわかっていて、自分も家族といない自分にビビってまう。
18なったら普通家出るよね〜っつってぺろっと出ていける感じではないっていうか、やっぱり他の多くのご家庭よりも親離れし難いし、その離れ難さというものが彼女の育つ道のりをよりドラマチックに魅せてくれました。
合唱クラブをきっかけに世界を広げていくさまはもードキドキ。
音楽や、先生、ええ感じの同級生、などなどと関わりながら、自己を解放してかたち作っていきます。
先生の指導シーンはね……なんか……泣ける。別に泣かそうというシーンでもないんやけども……。若々しいロマンスも爽やかでよいです、フレッシュ!!
そうして大人になっていく道中にはもちろん家族への反発もあるし、心が苦しくなる場面もあるのですが、過程の後にはちゃんと肯定があって、みんな想いあってるんや……ってことが伝わる場面が端々にあるのもまた光……。
そして親離れから始まる子離れ。
しかして単に子離れというだけではありませぬ。
ロッシ家の場合ルビーはこれまで、聴こえる人たちの世界との窓口を担ってきました。
なのでご両親からしても、寂しさや心配とプラスして離れにくい事情があるんですよね。
ご家族間では手話でコミュニケーションをとっているけれど、それは家庭内や聾の人々との間だけで通じるもの。
当事者や家族、専門家以外で手話できる人ってレアやもんな……。
場面場面で、聴こえる世界からの疎外感みたいなものの存在が見てとれます。
しかしその関係性が、家庭内の変化とともに動き出していく。
ルビーというワンクッションがなくなることでの変化、どう世間と向き合っていくのか。
やっぱり単に子離れではないんですよね。でもその姿は決して後ろ向きではない。グッとくるものがありました。
ということで!
親として子としてということに掛け合わされた離れ難さを双方から描かれることで、アクセントある形での成長物語になっていて、より胸に迫るものがありました。
加えて障がいのことについても不自然さなく丁寧に描いてあるのも素晴らしかったし、独り立ちの時の、ちょっとの寂寥感と大きなワクワクみたいなあの感じを思い起こさせてくれるのも自分的には魅力。ヒュウ!!
音楽にのせて重なる世界観
お話途中までは、この家族にとっては音楽って隔たりやな……と思いながら観ていました。
耳の聴こえない家族の持つ世界観、その表現も散りばめられていて想像しやすくて、音楽は未知、ルビーの音楽の才能というものにも信頼ができない、っていう心情にもすごく自然と納得させられます。
なんですが!!
両親がルビーの才能を知ったとき、その隔たりは徐々に消えていきます。
ここすごいよいシーン〜。聴こえない世界をはっきり際立たせて描かれていて、それが両親からルビーへのあゆみよりに、自然と共感させられるのですよ……泣く。
からの〜山場の山場では聴こえる・聴こえない 2つの世界が 音楽表現にのせてやさしく重なり合っていきます。
めちゃめちゃ素敵やん……。
終盤はほんまに思い出し泣きできるレベル。
家族の絆が進化していく流れを、音楽の扱いの変化とともに感じられるましたよお。
音楽という要素、コーダという要素、をつつみこんだ よりつよく 明るいカミングオブエイジ!
コーダ あいのうた
DVD
価格:3,344円 |
BD
コーダ あいのうた【Blu-ray】 [ シアン・ヘダー ] 価格:4,224円 |
配信
おわりに
さて最後までご覧くださり ありがとうございました!!
わざとらしい感動ものは苦手な転ですが、今作は信じられんくらいべしょべしょに泣いてしまいましたね……。泣かそう感ないのにこんな胸詰まるんやられた。特に賞取るだけあってお父さん役の人すげーでした、表情やばばどんだけ泣かすねん……。ほんま……ほんま……。
歌ももちろんよかったですよお!!ルビーちゃんええ声!!
と、感想が尽きないのでこの辺で。
みなさまもぜひ心あたためたいときにご覧あれ〜。
では今回はさらば!!!